ハイスペックガール



この部屋からでるのは初めてだな。



廊下には、
旅館みたいにたくさんのドアが並んでいた。


さすが……世界に登りつめた暴走族。



……あ、

「こ、浩太。金庫に入ってたあのお金はいったい…」

浩太は、振り返りもせず前を向きながらああ、と相づちをうった。


「あれはお前の持ち金。」

「あんな大金?!」

「声が大きい。他の奴はそんな多くないんだ。」


私脅されてる側だよね……?

なのになんで。


「いや、勘違いすんなよ?小遣いじゃないからな。仕事につかうんだ。」

そーなんだ。

「……そんなの分かってるし!」


でもスパイでしょ。

お金使うの?





「ここだ。」



浩太が立ち止まったところには、大きな襖があった。


和風だな……。

部屋広いんだろうな。



「坂上浩太、入ります。」



落ち着いた声でそういうとゆっくりと襖を開けた。


私もつられて入りますと言おうとしたけれど、浩太に
お前はいい。と言われてしまった。



案の定、畳の部屋だった。

長い机にたくさんの食器が並んでいて、思わず息を飲んだ。



「おお、浩太さん。言われた通り、お席は二つ用意しておきました。あちらです。」


浩太より身分がしたなのか、大学生くらいの男の人が敬語をつかっていた。



誘導された席は、いわゆる誕生日席だった。


なんで私がこんなところに座るんだろう。


「なにもたもたしてる。座れ。」


私は一応行儀よく座った。



長い机は三つ並んでいて、右の机に私と浩太、左の机に知らない人……。


きっと真ん中は総長だろう。

あの偉そうな総長……!偉いんだろうけどさ!年はそんなに変わらないのに!



少し視線を感じるけど、みんな姿勢をよくして待っていた。



総長を待ってるんだな……。



この様子だと、殿のおな〜〜りーとか言いそうだけど。








待つこと10分、まだ総長はこない。




遅すぎない?待たせすぎじゃない?



私はもうお腹が鳴りそうで大変だ。


その時、やっと襖が開いた。



なんだ、普通に入って来るんだ。


「総長!おはようございます!」
「おはようございます!」
「いつもより早いですね!」


総長を敬っているのか、みんなの目が輝いている。

総長は、おはようとだけ言ってせきについた。


てかこれで早い方ってどーゆーこと!!




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