ハイスペックガール
やっぱり若いんだね。
「マキね」
私はなんでもないようにサラッと呼び捨てにした。
マキは、フッと笑って食事に手をつけた。
「尊敬という言葉を知らないのか。」
浩太は相変わらず小声だ。
「尊敬?なんであんなやつに。」
私はフンッと鼻を鳴らした。
浩太はまだ何か言いたそうだけど、もう無視した。
膳の上に置いてあったオレンジを一切れ食べて、残りを浩太の方へ寄せた。
「ごちそうさま。」
お腹いっぱいにはなってないけど、食欲はそんなにないしね。
「凛っっもっと食えよ。」
そう言いながらも膳を受け取る浩太は、相当お腹が空いているんだろう。
「もう部屋に戻っていい?」
「分かるか?」
「うん」
自分の部屋の位置くらい分かるってば。