ハイスペックガール
部屋について、すぐに足を見た。
あぁ……やっぱり。
赤く腫れ上がっていた。
このくらいの傷なら…。
「絆創膏……」
どこにあるかな?
探し回ってみるけど、なさそうだった。
「ふぅ〜〜」
疲れた。
私はベットに寝っ転がった。
私が治しても、また次々に患者がくるんだろうな。
繁華街でやっていたときには見たことがないくらいひどい傷を思い出す。
あんな重傷……。痛いだろうな。
それでも暴走族を続けるのかな。なんでなんだろう。
コンコン
「入って。」
私はそう言うのと同時にベットに座り直した。
「凛、」
「あ、浩太……」
私は反動的に足を隠した。
「大丈夫か?」
そんな心にもないことを。
「平気って言ったでしょ。」
疲れただけ。体も、精神的にも。
「はぁ…バレバレなんだよ。」
「なにが?」
浩太は私の前に座った。
「足、いてぇんだろ。」
隠している足を引っ張られ、腫れた部分があらわになった。
「っこのくらいっ、平気だしっ」
私は必死に着物で隠そうと足の指に力を入れた。
「っっ〜〜っいっ!」
「ほら、痛いんじゃん。」
浩太はスーツのポケットから湿布と絆創膏を取り出した。
夕食のときも、病院行くときも、私は着物なのにどうして浩太はスーツなんだろう。
浩太は、私の足をひんやりとした手で触った。
私の体はビクッと反応する。
「これくらい、自分でできる。」
私は浩太から湿布と絆創膏を奪うようにとって、足を折り曲げた。
浩太はフッと笑って立ち上がった。
「ブレないな。」
「別に。」
私は擦れている箇所に絆創膏を貼っていく。
「自分の治療はできないんだろ…?ライさんが言ってた。」
そう、自分の傷は治すことができない。
なぜかは私にもわからないけど。
「だったらなに。」
私はボロボロな足を見つめて冷たく言った。
「自分の体、大切にしろよ。」
言われなくても分かってるし。
そもそも、こうなったのはあんた達のせいなんだから。
「心配なんかされたくない。」
「俺は教育係だからな、一応。」
浩太が心配するのは、教育係だから。ただ、それだけ。
「あっそ」
私はそのとき、イライラのような、複雑な気持ちになった。