ハイスペックガール




「おれ、茜のこともっと知りたい」

ずいぶんとクサイ台詞だな。

教えられることなんて何もないんだけどなぁ。



「あはは。なんで?」

「痛いって言った所触ってきて非常織な人だなって思ったんだけど、今日昼休み、担任の手伝いやってたじゃん?
それにこーやって一緒に帰ってくれてるし。」


非常織だと思われていたのか。
なんかショックだなぁ。

手伝いはやらされてたようなもんだけどね。


「非常織な人のこと知りたいなんて、どうして?」

こんな皮肉っぽいことしか言えないのに。

「なんでなんだろう。」


運命とでもいいたいのか。

浩太は不思議な人だ。


「ふふっ」


私は自然と笑みがこぼれた。

浩太は私を優しい目でみつめていた。


「そういえば、なんで怪我してたの?」



「ああ、昨日繁華街でちょっとだけ暴れてさ。」


「は?繁華街?」

さっきの雰囲気とは一変して、緊張が走る。



「え?うん。有名な奴がいてさ。
フード被ってる小柄な女の子で。
不良を次々に倒してかっこいいんだ。」




フード。小柄。女の子。倒す……




完璧に私のことだな。

この通りチビだし昨日ちょっと派手にやったし。




「一目見ようとして近づいたら巻き込まれちゃって。

俺も一応ケンカはできるんだけどその女の子の方が上で、防御できなかったんだ。」



浩太は苦笑いしながら右手をブンブン振った。


「え?!?!?!ごめん!」

「なんで謝るの?」



あ、やばい。つい……。

巻き込んでしまっていたなんて気付かなかった。



できるだけ気絶程度で怪我させないようにしてるんだけど……。


当たっちゃったのか……





「え、いや。足踏んじゃった気がして。」

うわ……苦しい言い訳……



「あ、私、こっちだから。ばいばい。」



私は逃げるように……

まあ逃げたんだけど。早足で帰った。






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