ハイスペックガール
「そうですか……残念だな、同年代だからいい友達になれると思ったんだけど」
案外へらっとした顔でそういう南里さんからは、残念という感じはしない。
そもそも、ここに居る時点で「いい友達」にはなれないよ。
「悪友」だよね。
「心外だなぁ〜。俺も高一なんだけど。凛じゃなくて、俺をいいお友達にしてくれない?」
え……浩太?!
突然、響いた声の主は、開きっぱなしだったドアから入ってきた浩太だった。
すごく、嫌味な言い方。
「ははっ。それは知らなかったな。ぜひいいお友達になろうよ。浩太。」
そう言うと、スタスタと出て行ってしまった。
笑ってた……けど黒いな。
「何しに来たの。」
「夕飯」
私は「ああ」と呟いて席に着いた。
ワゴンみたいなものが浩太の手によって中に入れられる。
テーブルの隣に置くと、浩太は私の前に座った。
「浩太もここで食べるの」
「そんなあからさまに嫌な顔すんな。」
「別に……」
浩太も本当は嫌でしょーに。
どうせ「マキさん」の命令でしょ。
「…………気にくわなかったのはわかるけど、仲良くなりたいならもっとそれらしく振る舞えば?」
ワゴンから食事を並べながらアドバイスしてあげた。
あんな言い方されても友達になろうとは思わない。
「は?なんのこと?」
とぼけてるの?
「さっきの。南里さん。」
当たり前じゃん、他に誰がいるのさ。
「あ、お前鈍感な部類?」
「それはない。」
私が鈍感なわけがないじゃん。
「友達になりたかったわけじゃねぇよ」
「じゃあ何で割り込んで来たの。」
「はぁ……」
そんなため息つかれてもさ……こっちは空気を悪くされた被害者なんだから。
「あ、もしかしてただ気にくわなかっただけ?それだけであんな嫌味つたらしくなるの……」
「はぁ?……まぁ、そーゆーことにしとくよ。」
浩太は相当不器用みたいだな。