ハイスペックガール
「坂上組はこの場所を知っているの?」
ガガガっという鈍い音を発しながら階段が降りてくる。
それを眺めているだけで、口を開こうとしないマキ。
階段は、私の足音で止まった。
登っていいのかな…。でもそのために階段降ろしてくれたんだよね。
マキは未だに階段を眺めている。
未来を見据えるように。
「……マキ?」
「なんだ。」
以外とあっさり返ってきた返事に驚く。
ていうか、質問に答えてもらってないや。話したくないことなの?
私は階段をゆっくりと踏みしめて登っていく。
上から風が入ってきているのが分かる。
涼しい風……。
きもちいい。
外は曇っていて、月は見えなかった。
それが今の私を物語っているような、そんな気がした。
「やはり坂上組を知っているか。」
いつの間に登ってきたマキが静かに言った。
「坂上組は浩太の親が組長なんだ。敵対している理由も……知っているようだな。」
一言を発さない私をみて、ハッキングしていることを察したようだった。
「ハッキングでは出てこないことを話そう。
浩太の父は…以前、天龍の総長だった。」
……え?!
「どうゆうこと?」
「初代総長だ。冠馬という族名だったんだ。それは小さな暴走族でな、人数も多くはなかった」
マキはその頃を思い出すように空を見ている。
「浩太の父は冠友という名でしられていた。
冠友が小さいころ、親が死んでな。孤独だったそうだ。それをきっかけに暴走族をつくった……。
そのとき年は……はたちくらいか。
家族のように仲間と親しく接して、もはやそこは暴走族ではなくなっていた。
そこにいたのが、今は亡き、浩太の母。
二人は恋におちて結婚し、子供も産んだ。
二人は幸せに浸って冠馬に行かなくなっていたんだ。
しかし、いつの間にか冠馬は膨大な人数を抱えていたんだ。
まとめきれなくなった冠友は、冠馬を組へ発展させたんだ。」
「でも、そしたら天龍の初代総長にはならないんじゃない?」
「違う。その後だ。坂上組は勢力を増して上へと登りつめていった。
孤独だった冠友にとって、そのトップにたてることは幸せだったのだろう。
権力に溺れすぎたせいで………母を失ったんだ。
それでも冠友は組長の座を誰にも譲らなかった。
そのことから、坂上組の中で対立が起こったんだ。
組長派の勢力と、俺のじいちゃんの勢力。」
「え、ライさん??!!」
いつの間に話に出てきたの……