ハイスペックガール
私はゆっくり立ち上がって支度をした。
今日も繁華街へ行く。
いつもの服を着て、うつむいて向かう。
決まったルートを進んでいく。
ただ歩いてるだけなのに、視線を感じる。
《有名》ってこういうことだよね。
路地裏で殴り合いをしている不良をたくさん見かけたけど、やめさせる気分にはならなかった。
ケンカの後なのか、倒れているイカツイお兄さんの怪我も治さず素通りした。
引っ越してきて初めて見た繁華街もこんな感じだったな。
賑やかで、華やかに見えるけれど裏の世界が存在する。
「今までやってきたけど、前と全然かわってないや。」
ボソッとつぶやいた言葉は街のうるさい声にかき消された。