ハイスペックガール
背中に嫌な汗が流れる。
「まだ……分からないの?んー、ヒント!俺の親父は茜を狙ってる。」
「へっ?」
なんで浩太のお父さんが私のことを知ってるの?!
それに狙ってるって……どういう……
……
『暴れてさ』『喧嘩』『親父』『坂上』
ワードがパズルのように少しずつ繋がる。
「お父さんって……」
浩太の顔が、少し笑ったように見えた。
なるほどね。
無言の浩太を見て、確信した。
「坂上組...............」
やっぱりね。
この辺のヤクザはみんな知り尽くしてる。傘下たちが繁華街で『暴れて』いるもん。
怪我人を何人見てきたか。
「坂上組。浩太のお父さん、坂上晃…
私を捕まえようと……」
坂上晃。
血も涙もない最低な男。
私を捕まえようとして大勢で襲いかかってくることもあったけど、全員返り討ちにしてやった。
それにしても、
なんて不運なの。
また、会ってしまうなんて。
「気づくの遅いな。でもそれはあくまでヒント。」
浩太は頭をポリポリと掻いて立ち止まる。
はめられた。
ここは人通りが少ない路地。
逃げ場なんて存在しない。