E・N・M・A~えんま~
思い返せば、あれは若気のいたりだった。
断りもなく『地界』から『人界』へ通じる赤門をくぐるという禁を犯した罪は、例え次期閻魔といえども免(まぬが)れなかった。
そして、『人界』の住人であり『竜神』の巫女でもあったちなつを愛した。
さらに、『人界』で神の立場にあるものーー『竜神』を、私心のみで自らの力をもって死にいたらしめた罪は、さらに重罪だった。
『竜神』を紅蓮の炎で消し去った後、我はその当時『閻魔』であった父より、過酷な罰を与えられた。
「お前が人界の小娘にうつつを抜かしたためにおきた罪だ。
お前が『閻魔』になった後も、人界に行くことを禁ずる。
もしまた同じ罪を犯したならば、小娘は幾度生まれ変わったとしても生きたまま地獄にいるほどの苦しみを背負うことになるだろう」