E・N・M・A~えんま~
十の巻~動悸~(☆千夏)
閻魔……。
閻魔…………。
廊下を走りながら脳裏に浮かぶのは、赤い燃えるような瞳の…口端を上げて笑った閻魔の顔だった。
夜中の一度ならずも二度までも、キスをされてしまった。
怒り倍増だ。
心臓はバクバクと早鐘を打つ。
朝っぱらから廊下を猛ダッシュしているワタシを、登校中の生徒達が何事かと目を見張っていた。
悔しい…!!
油断してまたもやあんな事をされてしまった自分にも、悔しかった。
いったい、あいつはーー宮下愁は、何者なんだろう。