E・N・M・A~えんま~
両手で千夏の額の上に、円を描く。
パァーーーーッ……と淡い薄紫色の靄が千夏の身体を包みこむ。
「……………?!」
声には出さなかったものの、もし誰か他に見ているものがあれば、我の驚愕した表情に気が付いたやも知れない。
それほどに、思いも寄らないことだった。
過去の出来事を、ほぼ作為的に引き出して千夏に見せているーー。
あまりにも、千夏にとって近しい者の存在が、過去の出来事を毎夜見せるための呪縛をかけさせている…。
そして、その近しい者とはーー。
千夏の母親…
その人だったのだ。