E・N・M・A~えんま~


くすっ。


わずかだけれど、閻魔の口許が笑った。



「相変わらず、強がりなんだな。」



そして、長い指がワタシの頬を撫でた。



その指に、透明な雫が伝っている。



「それに、相変わらずに泣き虫だ」



人の気持ちにお構いなしにそんな事ばかり言う閻魔に、何やら悔しくなってきて、


「誰が泣かせてると思ってんの…っ」


だなんて、

言葉をぶつけると、閻魔とは反対の方向へ体の向きを変えた。




ワタシは、ここーー『人界』ではそんなに泣き虫なんかではないんだ。


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