E・N・M・A~えんま~
「千夏っ?!」
見回すも、シュウの姿もどこにもない。
「千夏…」
ぽつりとこぼしガックリと膝をついてうなだれる。
我としたことが…
閻魔ともあろうものが、やすやすとこの世に一番大切な者を奪われてしまったことに不甲斐なさでギりっ…と下唇を血が滲むほど噛みしめていた。
「閻魔」
ふいに俯く我の視界に、歩み寄ってくる裸足の足先が見えた。
見上げれば、そこには千夏の母でもあり守り人でもある中年の女が見下ろしていた。
その目は、あからさまな侮蔑の色が浮かんでおり、
「貴様っ!!」
千夏の母親に向かってうなり声を上げていた。
「あら、怒鳴る元気はあるのね」
彼女は頬に長い指を添えて、くすっと笑った。
「何だと?!」
次の瞬間、立ち上がると思わず彼女の胸ぐらをつかんでいた。