E・N・M・A~えんま~
十六の巻~暗転~(☆千夏)
シュウがゆっくりと視線を閻魔からワタシに向けると、長い指を伸ばして手招きした。
「――千夏、おいで」
そう言われてみれば、自然にワタシの体はシュウのもとへ吸い寄せられていた。
違うのに。
本当は閻魔といたいのに。
「千夏?
どうしたというのだ。
あんなやつの言うことなど聞くな」
閻魔の声が背後から聞こえてくる。
胸が苦しくて引き裂かれそうだというのに、どうしたわけか足が勝手にシュウのもとへ向かってしまうのだ。
まるで磁石でいえば、プラスとマイナスが引き合うように――。
引き合うのなら、閻魔とがいいと思っているのに…