E・N・M・A~えんま~


「千夏…」


熱のこもった低音が、ワタシを呼んだ。

くるりと、腕の中で身体の向きを変えられ、彼と向かい合う形になる。


ワタシより頭二つ分ほども背の高い彼を、恥ずかしくて見る事ができない……。


視線がまっすぐ向けられているのが分かる。
熱い、熱い、
視線ーー。



あごに大きな手のひらが触れた。

心臓が早鐘を打っている。



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