E・N・M・A~えんま~
シュウが勝ち誇った顔を隠すことなくこちらに向けた。
そして――。
「僕の勝ちだね?
ちなつは僕を選んだよ?
――兄さん」
口角を上げておかしそうに笑うシュウの顔は、紛れもなく自分とそっくりな顔で瞳の色さえ同じならば誰もが見間違えるほどだった。
「シュウ――
まさか我に勝つというただそれだけで、千夏を連れてきたのか?」
低いうなりごえをあげると、千夏と側に控えていた守り人がビクリと体を震わせた。
「それに、許せないことがまだあるぞ。
千夏をどこへやった」
「何を言ってるのか分からないな。あんたはいつもそうだ。偉そうで、…その赤い目で睨み付けてる」
シュウのサファイア色の瞳がきらめいた。