E・N・M・A~えんま~
「ぼくの兄貴はそうとうな焼きもち焼きらしいね。
でも、千夏はやっぱり兄貴のものにはならないよ。だって、そう誓っているんだから」
シュウの言うことすべてにカチンと腹を立てていては先へは進まない。
我はむっつりと黙り込んだ。
シュウもそれが分かったのだろう、それ以上は突っかかっても来なかった。
「そうそう、質問の答えだったね」
シュウの顔が急に真剣なものとなる。
「ぼくが竜神だということ。
これはあながち嘘ではないんだ。
ぼくは閻魔の双子の弟だ。生まれた場所は『地界』…。」
そして、シュウは遠くを見るかのように目を細めた。
「けれど、物心がつくかつかないかの頃に、『天界』へ連れてこられたんだ。
理由はすこぶる簡単。
母は竜神の妻だったから、その血を引くものが跡継ぎとして必要だったから」
「え…?
そんなことって…」
千夏が我を窺うようにして見上げた。