E・N・M・A~えんま~
「毎日、あの鳥たちは同じように弧を描いて飛んでいるわ。子供の頃から不思議だった」
少女はよく見ると白い着物を着ていた。この辺りに見る一般的な着物とは違っていた。
二人の頭上でカラスが一羽二羽、カーカーと鳴いた。
山の日没は早い。
カラスも家路を急いでいるのかも知れない。
「ねぇ、あなたこの村の人じゃないわね」
「…………」
少女はよく喋る。
もう日が暮れるというのに平気なのだろうか。