E・N・M・A~えんま~
壱の巻~震動~(☆千夏)
「千夏ぅ~!!」
ふいに呼ばれて振り返れば、家の玄関は目の前で、母親が腰に手をあてて立っていた。
「あれ、お母さん?」
間の抜けた返事をする私に気が抜けたのか、がっくりと肩を落とす母ーー。
「心配させんじゃないの。
まぁったく、待てど暮らせど帰ってきやしないから…」
「――え?」
「『え?』じゃないわよ。もう11時になるのよ」
驚いて携帯を見ると、画面のデジタルは10:53を表してした。