film
ずっと華奢だと思っていた新の腕は、
思ったよりも筋肉質だった。
私が何も答えないと、新は少し力を強め
首筋に唇をあてた。
「俺はすごいドキドキしてるんだけどな、」
かすれた新の声。
「瀬名くん、」
「うん?」
「帰ろう」
いくら予備校とはいえ、こんな姿を誰かに見られるわけにはいかない。
かといって、新の腕を振りほどくこともできなかった。
私は、どうかしてる。
9歳も下の男の子に…
新は私と目を合わさずに、自分の荷物を持って部屋を出た。