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季節は着々と冬に向かって準備を進め、
空にはオリオン座も見え始めている。

駅前の明るい繁華街に出るまでの
人気のない暗い道。

私は新の後ろを知り合いと他人の間くらいの距離で歩いていた。

新は明らかに拗ねている。
どうしたものだろう。



昔から人に嫌われるということに敏感な部分がある。

そう、あれは高校生の時だ。
ある日突然友達の態度が変わった。

朝教室に入ると、昨日まで仲の良かった友達みんなが
私と目を合わせない。

訳が分からず、勇気を出して自分が何かしたかと聞くと
「茉美がユリナの悪口を言っているとコウタくんに聞いた。茉美はユリナがモテることに嫉妬している」というのだ。

もちろんそんな記憶はない。
違うと否定した。

ユリナの悪口を言っていたのはユリナに振られたコウタくんだった。

コウタくんが私にユリナの悪口をいい、私がユリナの事を庇うと
コウタくんは私がユリナの悪口を言っていると言い回った。

噂は広まり、噂には尾ひれがついて回った。

それ以来、私は人と深く関わらないように過ごした。

そこで友情が終わるなら、そもそもそんな友情は大したこと無かったと思う。
大学に行くと好きなことや趣味の合う仲間が増え、仲のいい友達もたくさんできた。
けれど本音はなかなか出せない。
今でも時々、あの時のみんなの目を思い出す。




「新、ジュース買ってあげようか」

薄暗い道に眩しく光る自販機の前で、
私は新の背中に向かって言った。



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