バレンタインの奇跡 短編


だが俺のその祈りは無惨にと打ち砕かれたのだ

タクシーのお金を払い
走って病院内に行くと泣き崩れた希世葉の母親が目に写った

「……京香さん!!希世葉は!希世葉は!!!」

希世葉の母親の京香さんに問いかけた

京香さんは力なく俺のほうに顔を向け、泣きながら俺に告げた

「命は助かったの

でも、今後いつ目を覚ますかわからないって先生が……っっ!」

俺は最初の言葉でほっとした

あぁ、希世葉は無事だった!と

しかし
つきの言葉でまたしても絶望に落とされた

「そ、そん、な
希世葉に希世葉に逢わせてください…」

俺が言うと京香さんはある一室に連れていってくれた

そこにいたのは穏やかな顔で眠っている俺の彼女……希世葉だった

その顔は
所々擦り傷や頭に巻いてある包帯を
除くとすぐに目を覚ましそうなほど穏やかな表情だった


< 3 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop