バレンタインの奇跡 短編
だが俺のその祈りは無惨にと打ち砕かれたのだ
タクシーのお金を払い
走って病院内に行くと泣き崩れた希世葉の母親が目に写った
「……京香さん!!希世葉は!希世葉は!!!」
希世葉の母親の京香さんに問いかけた
京香さんは力なく俺のほうに顔を向け、泣きながら俺に告げた
「命は助かったの
でも、今後いつ目を覚ますかわからないって先生が……っっ!」
俺は最初の言葉でほっとした
あぁ、希世葉は無事だった!と
しかし
つきの言葉でまたしても絶望に落とされた
「そ、そん、な
希世葉に希世葉に逢わせてください…」
俺が言うと京香さんはある一室に連れていってくれた
そこにいたのは穏やかな顔で眠っている俺の彼女……希世葉だった
その顔は
所々擦り傷や頭に巻いてある包帯を
除くとすぐに目を覚ましそうなほど穏やかな表情だった