悪魔な彼が愛を囁くとき
大嫌いなあいつ

腰からギャルソンエプロンを巻きつけ上に着ている黒シャツを腕まくりして仁王立ちする男。

このお店【ff】ホォルテシィモの店長が眉間にしわを寄せて上から私を睨みつけている。

茶髪の髪を無造作にワックスで整えてモデルも顔負けの顔をしたイケメン、身長180近くあるからか威圧感が半端ない。

朝の朝礼から睨まれてるなんて最悪。

「凛、お客の前でそんな顔でいるつもりか?店に来た時からそのブサイクな顔はなんだ⁈。お前の取り柄は笑顔だけなんだから店に出るならその顔なんとかしてこい…プロ意識がないのか⁈あぁっ」

恐っ…
イケメンなだけに怒ると凄みが増す。パートさんやアルバイトちゃん達は怒った顔も素敵と目をハートにさせているけど怒られている私には悪魔にしか見えない。

「仁‥そんな言い方ないでょう。凛ちゃん、オープンまでまだ時間があるから目の下のクマをなんとかしてらっしゃい」

話の間に入ってくれたのは、オーナーの奥さん…店長のお母さん。家族経営のレストランに社員は私だけ。

「……はい」

休憩室にある鏡の前で自分の酷い顔を見てギョッとしてしまう。化粧ポーチの中を漁りながら

酷いわな…
ため息が出るほど酷い顔だ。
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