悪魔な彼が愛を囁くとき
唇を優しく触れ、チュッチュと啄むキスをしながら、仁は器用に自分の衣服を脱いでいく。
待ちきれなくて、脱いでいく傍らで後を追いかけ仁の肌をなぞる私の手のひら。
その手にビクッと身震いする男は、熱を孕んだ瞳で睨みつけてくる。
「…ッ…前の男にもこんなことしていたのか?」
こんな積極的なことを自分からしたのは初めて‥
「仁が初めて‥」
「そうか…もっと俺にお前の初めてを見せてみろ」
一瞬、嬉しそうに目元を緩ませた。それを隠そうと横柄な口ぶりで魅惑的な笑みを浮かべた。
頬を染めてコクンと頷いた私は、彼の腕の中で乱れていく。
水と油のような関係で、嫌いだった相手なのに好きだと気づいてしまうと、彼にもっと触れたくて、触れてほしくて、求めてしまう。
それは彼も同じらしく、意識が朦朧としても彼は耳を甘噛みして悪魔な囁きで私を引き戻す。
「……りん、まだだ。まだ、足りない…お前に俺の全てを刻みつけるまで終われない」
甘く痺れる体は、力尽きるまで淫らに揺れ深い眠りに落ちていく。
体にかかる重みに目が覚め瞼を開けると
、目の前にはスヤスヤと眠る男に抱きしめられて寝ていたらしい。