悪魔な彼が愛を囁くとき
『…じん、スキ…好きなの。ねぇ…意地悪しないで…お願い』
その度に、この唇が口角を上げ意地悪く笑い
『そんなんじゃわかんねーよ。ちゃんとお願いしろよ』
悪魔な笑みを浮かべていた男と同一人物なのだろうか?
『じん…でいっぱいにして…』
『………ほしいの』
もっと、耳を塞ぎたくなるようなことを自分から言った気がする。
生々しい光景が脳裏をよぎり、頬が熱くなる私。
私に恥ずかしいことを言わせておいて…
と、鼻先を摘んでやつあたり。
それでも、気持ちよさそうにスヤスヤと眠る男が憎らしい…けど、愛しい。
この感情をなんて言葉にしたらいいのかしら⁈
無意識に彼の胸に頭をつけすりすりと寄り添うと、頭上から笑いをこらえた声が漏れた。
んっ?
頭をそらし、彼の顔を覗くと口元を歪め笑いをこらえている男がいた。
ムッとして口を尖らせ抗議する。
「なんですか?」
「いや…寝たふりしてたら顔を触って唇に触ってきたからキスでもしてくれるのかと楽しみして待っていたら、意表を突いて鼻先を摘んですり寄ってくるなんて…可愛すぎだ。昨日までツンツンしてたくせに肌を重ねると素直になるのな…なぁ、りん」