悪魔な彼が愛を囁くとき
30分後
時刻は、午前10時半過ぎ
私は、誰もまだ来ていない事を祈って恐る恐る休憩室のドアを開けた。
朝方、仁が下に降りて私の鞄を持ってきてくれていたから、簡単にメイクする事が出来たけど…完全な遅刻なのは間違いない。
室内に誰もいない事にホッとするも…
「凛ちゃん、おはよう…」
背後には綾乃さんがにこやかに立っていた。
「…お、おはようございます」
「珍しいわね…凛ちゃんがこの時間に着替えもしないでいるなんて、寝坊でもしたの?」
「まぁ…」
寝坊というか誰かのせいでしばらく意識を失っていました。
あははは〜
苦笑いするしかなく、ロッカーに鞄を入れ、女同士、恥じらう必要もないからと制服に着替えるためにワンピースを脱ぎだした。
「……凛ちゃん」
綾乃さんの好奇な叫び声と視線が胸に突き刺さる。
あっ…時間がないと意識がそこに向いていてすっかり忘れていた。
胸についている赤い痕のことを…
慌てて隠しても既に遅く…
「それって、まさかのまさかかしら⁈」
わかっているのに私から聞きたいらしい綾乃さんに、若干イラっとなる。
「…そのまさかですけど、今は何も喋りませんよ」
「うー…ケチ」