悪魔な彼が愛を囁くとき
「お店に来店してくれる男の人だってお客さんでしょう?常連になってくれれば、女の人より羽ぶりよくお金落としてくれるじゃん」
「男なんて、女の前だから見栄でお金を落としていくだけで常連になる奴なんてそうそういない。お前目当ての昼に来る男はコーヒー一杯で粘りやがって売り上げにもならない」
うちのランチ時間帯は、お食事をされたお客さんは、コーヒーのおかわりは無料で提供しているから仕方ないと思うけど…
「いいじゃない。おかわりぐらい『お前と喋る為におかわりを頼むような男だぞ。ケチくさい…お前もデザートぐらい勧めろ。どうせなら酒を頼めよ。』」
最後の方は完全に仁の独り言のようになっていた。
なんとも、いろいろな感情が入り混じり話が脱線しているが、私に対するとばっちりが回避されてよかった。
ほっとしたのも束の間で
「とにかくだ…お前はもう俺のものだ。この手の薬指に人の物だという印がいるな…よし、今から買いに行くぞ」
「…えっ、今から?これから仕事だよ。だいいち、ジュエリーのお店ってこんな早い時間に開いてないじゃん」
「……なら、昼休みに買いに行くぞ。それまで婚約指輪をつけていろ」