悪魔な彼が愛を囁くとき
さっさと終わらせて帰ろう。
グラスを片付けて、シルバーを各テーブルにセットしてナプキン補充をしてメニューを配置に置いたら終了。
やっと帰れる。
時計を見れば9時半過ぎ、着替えをし、コンビニで晩ご飯を買って家に着く頃は10時過ぎるだろう。
「…店長、終わりました。お手伝いする事ありますか?」
「…イヤない。お疲れ様」
視線は下を向いて作業したまま相変わらず愛想がない。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
やった…
今日は訳のわからない事で疲れた。
昨日の失恋も忘れて、デザートでも買って帰ろうとウキウキして着替えを終えて裏口のドアを開けたら……そこに立っていたのは……
店長⁈
なぜにそこにいる?
「……おやすみなさい」
一様挨拶してアパートに向かって歩こうとしたら
「……ちょっと待ってろ」
背後からの声にビクッと体が揺れる。
怖いからやめて……
店長が裏口のドアの鍵を閉めてセキリュティがONになるのを見ていた。
「送って行く」
鍵を無造作に黒ズボンのポケットに突っ込み歩き出す店長。
店長の行動が理解出来ない私はその場に立ち止まったまま…