悪魔な彼が愛を囁くとき

「凛、おはよう」

あれ⁈
優しい声色に、その爽やかな甘い笑みはなんなんですか?

それに、シャツのボタンがちゃんと閉じてないから、胸元から生肌がチラチラ見えてセクシーですが…

その色気はなんなんだ?

「……て、店長、おはようございます」

声を振り絞り精一杯の挨拶をして休憩室に向かい逃げようとしたのに…背後からついてくる男。

「りん…ホールには誰もいないんだが‥」

ホールにはって……
何が言いたいんだ?

キッチンにはいつものようにオーナー夫婦がいるでしょう⁈


だからつい警戒する事を忘れて休憩室のドアを開け荷物を置きながら会話を続けた。

「そうですか…店長が私より早いなんて珍しいですね」

「凛を朝から口説くつもりだからね」

えっ…

予期せぬセリフに思わず振り返るとすぐ背後に店長がいた。

アワアワする私を見て楽し気な男が、ロッカーに両手をつき囲む。

逃げ場を失った。

近い距離に昨日の夜の出来事が思い出され頬が熱くなってドキドキしだす。

「2人きりの時はなんて呼ぶんだった⁈りん…思い出せよ」

命令口調なのに語尾が甘いからドキドキが止まらない。

「……本気なんですか?」
< 21 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop