悪魔な彼が愛を囁くとき
さすがに、店長も驚いたのか腕の力が緩んだ、その隙に私はカーテンレールをひいて返事をする。
「はい」
「入るわよ」
ガチャとドアが開いて入ってきたのはオーナーの奥さん、桜子さんだ。
「凛ちゃん、おはよう。着替えてるのにごめんね」
「いえ…どうかしました?」
カーテンの隙間から顔だけをだし桜子さんと対話する。
「コーヒーメーカーのメンテナンスに来られたんだけど、仁がいないのよね」
カーテンの中で、抱きしめたままの店長が耳打ちしてくる。
『凛、いけないことしてるみたいだな』
この男は…
口を閉じてろと店長の唇を手のひらで塞ぎ桜子さんに返事を返した。
「着替えたらすぐに行きますので、メーカーさんには先に見てもらってください」
「そう?助かるわ」
「じゃあ、着替えますね」
「えぇ、ごめんなさいね。仁たらどこで遊んでいるのかしら?」
ニコニコしている桜子さん…
まさかね⁈
店長がいることに気づいてる?
「……」
「それじゃ、お願いね」
「はい」
ガチャとドアが閉まった瞬間、手のひらが振り払われ
「俺を殺す気か⁈」
「まさか…」
殺気に視線をそらした。