悪魔な彼が愛を囁くとき
2人きり…
気まづいな。
今日の朝番、早く来ないかなぁ…
コーヒーカップを片づけようとしていたら、今まで口数が少なかった男が喋りだした。
「何が彼氏と飲んでみてくださいだぁ…あきらかにお前に男がいるのか確かめてたじゃないか。お前もお前だ…ペラペラと別れたとか喋ってんじゃねーよ。それに、なんだ⁈僕もフリーだしいつか一緒に(モーニング)コーヒー飲みましょうってベッドへのお誘いかぁ⁈爽やかな顔して朝から俺の前でナンパなんていい度胸じゃないか。チッ‥お前も俺がいるのに『はい』って返事してるんじゃねーよ」
モーニングって…
ベッドへのお誘いって⁈
どんな想像してるんだ。
店長の言葉にア然としていれば、低い声で罵声を浴びせて背後から近寄ってくる男に慄きその場に固まる私…カウンターに手をつき囲う手にドキっとすれば後頭部から切ない声が
「俺以外の奴になびくなよ」
そんな声出さないでよ。
キュンときてしまう。
私の頭部に顔を埋め豹変する態度にドキドキした鼓動が速くなる。
「おはようご‥ざい…ます」
朝の当番だった綾乃さんの声が途切れ途切れに聞こえて2人で振り返る。
「…おはようございます。綾乃さん」