悪魔な彼が愛を囁くとき

今もランチ時間が落ち着いたところで、笑顔を貼り付けた男が横に立ち、低い声で私だけに聞こえる声で怒る。

『お客に催促される前にお冷を注ぎに行け…』

グラスに水がないのはわかってたわよ。

だけど、オーダーが重なって行けなかったの知ってるでしょう。

それなのに…

『少しの間もなかったとは言わせないからな』

気がついてたのならあんたが行けばよかったじゃん。

心の底で反撃。
それに、言い方ってものがあるでしょうよ。

これが他のスタッフだと優しく言うくせに…

口に出して言えないのは、店長が誰よりも動き回っているって知ってるから…

嫌いだけど、接客業の先輩として尊敬はしている。

来店されたお客さんを優雅に案内し、ホール全体の動きを把握し、お客さんと会話もしながら各テーブルの状況を見ていてスタッフに指示を出しいる。そして、帰られるお客さんのお送りも完璧にこなす。

、ドリンクやデザートを提供するタイミングはお客さんの様子を見て先に指示を出してくるから、お客さんがそろそろほしいって時のタイミングで提供することができる。

終いには、帰られたテーブルの上もササっと片付けていく。
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