悪魔な彼が愛を囁くとき
空気を読めとばかりに一喝される。
ヒェ〜
私、お酒弱いのに…
オーダーしてものの数分でキンキンに冷えたグラスビールが運ばれてくる。
「よし…乾杯しましょう」
「何にですか?」
「もう…なんでもいいのよ」
「はい…」
「乾杯……」
グラスに口をつけた瞬間
「凛ちゃんと店長の恋愛成就を祈って…」
「佐和さん、早すぎです」
ブハッ…
吹き出す私を見て、店員が新しいおしぼりを持って駆けつけてくれた。
「すみません」
吹き出した恥ずかしさやら、佐和さんの突拍子もない掛け声に動揺するやらで、あたふたしていた。
「……ありがとうございます。もう…大丈夫なので…これ、ありがとうございました」
いえいえと真新しいおしぼりを置いて、こぼしたビールを拭いたおしぼりをスッとさげていってくれた。
もう…なんなんだ?
なんの嫌がらせだ…
「……あの…今日の集まりって」
「女子会よ」
ですよね…
「凛ちゃんの新しい恋のお話でも聞こうかと思って…ほら、お店だと店長いるし本人の前で話しずらいでしょう?佐和さんと私が人生の先輩として相談にのってあげようってことになったのよ」