悪魔な彼が愛を囁くとき

屈託のない笑顔に笑みがこぼれる。

「まったく、誰に似たんだか⁈」

男の子のママは、横にいる男性を苦々しく見つめていた。

「‥…俺には美鈴だけだぞ」

「当たり前です」

ピシャリと言う彼女は、今までの優しいママの雰囲気と違い女の顔になっていた。

男性は、人目もはばからず彼女の頬にキスをする。

彼女は、頬を染め上目遣いに男性を見ていた。

うわー
目のやり場に困る。

ここ、お店ですよ…
目の前にお客がいますよ…

心の奥で叫んでいた。

「おねぇちゃん、はい‥あ〜ん」

いちごのケーキからいちごをホォークで刺して私にくれるらしい男の子。

「いいの?」

「うん…」

「新ちゃんのいちごなのに食べなくていいの?」

「いいよ…ママにまたもらうから、おねぇちゃんたべて…」

「ありがとう……甘くて美味しい」

「よかった…おねぇちゃん、笑ってくれて…」

笑顔を向けてくれる男の子にズキューンとハートを撃ち抜かれた感じ…

思わず抱きしめていた。

「…おい、何やってるんだ」

背後からご機嫌の悪い声が聞こえる。

「可愛くて抱きしめてるんです」

「離れろ…」

「なんでですか?」
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