悪魔な彼が愛を囁くとき
絶対、耳まで赤い。
顔が熱くてたまらない…
色っぽい眼差しを向けてきて、気を失いそうだ。
いや、いっそのこと失ってしまいたい。
「凛、顔が赤いよ。熱でもあるのか?」
クスリと笑い、そうじゃないとわかっていながらおでこをつけてくる男。
この甘い雰囲気に何が起こっているのかわからない私は、されるがまま…
そこへ
「あっ、タカタさんどうしたの?」
奥から出てきたタカタさんが、立ち止まりこちらを凝視していたらしい。
美鈴さんの声に私と店長はタカタさんがいる方向を見た。そしてタカタさんはこちらを見て一瞬だけ驚いた表情を見せていたが笑みを浮かべた。
「こんにちは…お仕事お疲れさまです」
「こんにちは…桐谷さんと店長さんは…お休みでしたか?」
「はい」
なんかいつものタカタさんと雰囲気が違うと感じるのは気のせい?
会話している彼の視線の先は私ではない。
ん?
どこを見ているんだ?
視線の先をたどれば…繋いでいた手。
あっ…
慌てて振りほどこうとするのにぎゅっと握りしめてくる。
て、店長…タカタさんが見てます。
睨んでも、どうとでもないという顔をしている。