悪魔な彼が愛を囁くとき
あまりお腹の空いてない私は、ジンジャエールだけを頼み、店長は真っ黒のラベルをした小瓶のビールを口飲みをして、ツマミにトマトのブルスケッタを頼んでいた。
「凛、このお店の接客を見てどう思った?」
「そうですね…カフェなのに細やかな気配りが多いですね。お一人さまでもゆったりとくつろげるスペースにそれとなくご案内して、団体のお客とは離されていました。おしぼりも熱すぎず、かといってぬるいってわけじゃない熱さで手渡しされて感動しました。サラダのとり皿も冷たく冷えていましたし、パスタの盛り皿は温めて出されてました」
「そうだな…お客は気づかなそうで、細やかな気配りに気づいてしまう。忙しいからといって出すタイミングを間違えたらいけないってわかったか⁈」
「はい」
まさか、そこに気がつかせる為に?
「店長、宿題の答えて明日の報告じゃなかったですか?」
「1日考える猶予を与えてやろうと思ったが、必要なかったな。よく、気がついた」
悪魔な男が、今までに見たことのないぐらい顔中をくしゃくしゃにして笑顔を見せた。
ズキューンと悪魔のやりが心臓を打ち抜いて奪っていったかのように、私の胸がズキズキとして痛い。