悪魔な彼が愛を囁くとき
ライバルは魔女です
1人、自分の部屋の中で頭を抱えていた。
私ったら何をしたの⁈
あの男とキスしちゃった。
全然、嫌じゃなかった。
うそ…
うそよ。
あの悪魔のような男を…
好きになっちゃた……みたい。
今も、私の頭の中にはあの男しかいない…
軽い女だと思われたくなくて、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
言わなくてよかったよ。
健太と別れて数えるほどしか経ってないのに…
あれは、そう…
雰囲気に流されてキスしただけ、事故のようなもの。
狭い部屋を行ったり来たりし、キスした唇を指先で触りながら、そう言い聞かせないと心が落ち着かないから仕方ない。
明日から、どうするのよ?
告白したわけじゃないんだから、今まで通りにしていればいいんじゃない⁈
あっちだって、帰り際もキスしたことに触れてこなかったもの。
そう…ただ、触れただけだもの。
向こうだって特別な意味なんてなかったのよ。
でも、好きだって言う相手に意味もなくキスするの?
考えれば考えるほど、悩ますキス。
またもや、現実逃避をする為に布団に潜り込んだ。
柔らかかったな…
自分の唇を触りながらキスの余韻に浸り目を閉じた。