悪魔な彼が愛を囁くとき
朝から超絶甘すぎる男に、私はキャパオーバー。
瞼は何度もまばたきして目の前の男の表情を伺い、頭の中は男の言葉がループして、唇は今だに触れている男の指先の熱にジンジンして、心臓はドキドキと高速で高鳴り、そのせいで血液が一気に流れ爪先にまで到達するゾクッとした甘い痺れ、粟立つ肌に……やっと、現状が理解できて頬が一気に熱くなっていく。
「…真っ赤になって可愛いすぎだろ…今すぐキスしてぇ…凛、お前もキスしたいって言えよ」
命令するくせに、どこか甘みを含んだ声に『キスしたい』って言いたくなる。
近づく顔が、耳元まできて
「りぃん」
ただ、名前を呼んだだけなのに命令に逆らえなくする艶めく声に、引き寄せられる。
男の首にしがみつき、爪先立って男の耳元で恥ずかしく囁いた時…
「……キス(して…)」
ガチャとドアが開く音
「……あっ、お邪魔だったわね。続きをどうぞ…5分したら開けるわ」
そう言ってドアを閉めたのは…
佐和さん⁈
我にかえって
いや〜、ちょっと待って…
続きをどうぞって…なんですか?
「続きをどうぞだとよ。それも5分あるぞ…凛、さっき言おうとした言葉を言え」