悪魔な彼が愛を囁くとき
柵の手間に大きなガラス窓2枚で空間を仕切られた12畳程のリビングは、生活感のある部屋で、小さいながらもキッチンが添え付けてあり、その奥に見えるドアはきっとバスにトイレにと続いているのだろう。
私を横抱きにしたまま、そちらとは違う反対側のもう1つのドアを開ける男。
そこは、隣より少し小さめの部屋だが、中央にある大きなベットが存在感を発揮していた。
ベットにそっと降ろされ、男の指先が優しく頬をかすめていく。
そして、男が壁にある何かを捻ると柵だと思っていたものが閉じて視界が暗くなっていく。
「……柵じゃないの?」
「ああ、ブラインドも兼ねてる」
ベットサイドの電球をつけると、私の前で膝をつき少し視線が下がったところから見つめてくる男に緊張が走りだす。
「凛…俺に言うことあるよな」
なんだろう?
「……全く、鈍いにもほどがある」
私の唇をなぞる男の親指。
「この口から肝心な言葉を聞いていない。りん…言ってくれ。じゃないとお前を抱いても不安でたまらない」
甘く切なく訴える男の頬に手を添えて引き寄せ、唇が触れる手前で囁いていた。
「じんが…すき」
「フッ…やっと‥言ったな。よそ見しないように俺だけに溺れるように躾てやるよ」