最果てでもお約束。
「でもパソコンはついて・・・あ、そうか」
そういえば、この仕事を始めてからパソコンが不意に落ちたりしないように外部バッテリーを予備で搭載してるんだった。
家で仕事しててブレーカーやらなにやらでデータが飛んでは洒落にならないってつけたんだっけか。
って何か忘れてないか?
「・・・・・・・・・」
黙って部屋の天井にあるつけっ放しのまま眠った豆球を見る。それは消えていた。
「・・・・アキラ、電気消した?」
「んー?いや、触ってないよー」
さっきからぼくの調子がおかしいことにやっと気がついたアキラがベランダから顔を覗かせる。
恐る恐る天井から伸びている電灯の紐を引っ張る。かち。・・・点かない。
かちかち。2度引っ張っても電灯は点かない。
そろそろ焼きあがるだろうはずのトースターからパンを抜いてみる。それは入れた時とまったく同じに冷たかった。
「お、朝食はトーストですか旦那ぁ」
ベランダから飛び込んでくるアキラ。しかしこっちはそれどころでは無い。
まだだ、まだこの部屋のブレーカーが落ちているだけという可能性もある。
部屋と廊下を分つドアを開け、廊下の電灯をONに。最悪な事に電灯は点かなかった。
悪い予感がする。
しかしまだだ。
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