最果てでもお約束。
町で一番の外れとは言え、なんと歩いて5分の距離にコンビニがあったりします。
すっごい田舎を想像していた読者諸君、描写が悪くてごめんなさい。
「んー、流石にだーれも通らないねぇ。無人の町みたいでなんか気持ちいい」
「まぁまだ朝の5時半だからね。」
車とすれ違うくらいなら問題無いのだけれど、流石に人とすれ違うのはマズイ。
「もしさー」
「んー?」
「ここが世界の果てで、本当に無人の町だったら、あんたどうするー?」
「・・・・・・」
朝見たディスプレイの文字を思い出す。
「・・なんでそんな事を?」
即答は避ける。なんか・・・下手に自分を曝け出しそうだったから。
「・・・歩いて誰か探しに行くよ。きっと」
「・・・・・一人なんて寂しいもんな」
「いやでもなーすっごい嫌なヤツしか見つからなかったらどうしよ」
「そら困るわ」
シリアスパート終了。

はい、コンビニ到着。正確にはとっても家族的な名前のコンビニに徒歩10秒の距離に到着。
「あれ、なんで立ち止まるの?」
もっともっと正確に描写すると、目の前にある角を曲がってとっても家族的な名前のコンビニまで徒歩7秒の距離に到着。
「この角を曲がるとコンビニの真正面に出るからさ、普通に入ってすぐ側にある本のコーナーで立ち読みしてて」
「へ?」
「いいからいいから。ただね、入ってすぐ右にカウンターがあってレジの人がいるからさ、その人の左手に注目して。つってもさりげなくね?ちらっとね?」
「ふえ?」
「さ、いってらっしゃい。心配しなくても7秒後にぼくも行くからさ」
「こ・・・細かい・・・」
綺麗に整った眉毛を八の字にして、不思議そうにコンビニに向かう。
まぁ・・・・説明するより実際に見た方が早いしね。
さ、7秒たった。早すぎても駄目、遅すぎるともっと駄目だし。そう思うと自分の足は若干速く進んだ。
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