最果てでもお約束。
「あー・・・・とりあえず家に戻るか・・・」
ばららーっとバイクのスロットルを開き、排気を上げる。
「飯ですね?そろそろですね?」
お前さっきパン食ったろう・・・・ん?
3ブロック程先の曲がり角から何か音がする。例えるなら・・・・なんだろう。
ぼくのヘボい例えが完成する前に1ブロック程進み、既に音はかなり大きくなってきた。
なにやら金属が擦れ飛び、ばら撒いている感じ。
もう1ブロック進むと、その音はまるで雷鳴のように急に大きく轟きだした。
「こう・・・これ・・・」
「うん・・・・」
バイクの後部に座っていたアキラが恐れからかぼくの腰を後ろから強く掴む。
この雷鳴にも似て、恐怖しか呼び覚まさない音は多分・・・銃声。
市街戦ではままある事ではある。道を1つ挟んだだけで突然現れる地獄。
こういった時のマニュアルは・・・えぇと・・・くそっ、一室の座学をもっとちゃんと受けておけば良かった!
「アキラっ!捕まってろ!」
「ひぇ!?」
右足を地面につけて軸にし、ターン!ここから先は流れ弾が飛んでくる可能性がある。早く違う道に入らなければ・・・
「何してる!しゃがめっ!」
丁度ターンの途中、おそらく銃撃戦の行われているであろう通路から叫ぶような日本語が聞こえて、ぼくは反射的にアキラを抱きかかえて地面に転がった。
「ちょっ!うわあ!?」
くそっ・・ちゃんと基礎訓練していたお陰で綺麗に転がれたけれど、人を抱えてなんてした事なかった・・・。
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