最果てでもお約束。
「クソッ!こっからじゃ射角がほとんどねぇ・・・かと言って突撃は・・」
ブツブツと腕の中にあるM16を見つめながら呟く。これが実戦のプレッシャーか?
いや、佐野君は米国に渡って実弾を使った特殊訓練もしている。しかも2回合わせれば半年に渡る長期訓練だったはず。
「荒谷・・・帰ったら絶対ぶっ殺してやる・・・あのクソッ・・」
キッとマンションを睨むその目には見間違えようも無いあの・・・凶灯。
「佐野君・・・薬を・・」
おそらくだが、使っている。戦場の恐怖をかき消す『興奮剤』
使えば弾丸の飛び交う戦場でも腰を抜かさずに立っていられる。その代償は理性。
「浮英!」
急に名前を呼ばれてドキッとする。こういった膠着状態の場合、誰かが囮も兼ねて1人で建物に侵入する事がある。普段の佐野君なら絶対に言わない事だけれど、この状況で佐野君の状態を思うなら・・・。
ゆっくりと佐野君を見る。もし囮になれと言われたらどうしよう。断れば・・・いや、この状況では断る事も出来ないだろうけれど。
知らずぎゅっとアキラを抱きしめる。その異常な柔らかさは、不快感ではなく何故か安心をぼくにもたらした。
「突撃するから、その間に離脱しろ」
殺される、と恐怖していた心がゆっくりと溶ける。佐野君の顔は、いつものいたずらっぽい笑顔に戻っていた。
「あ・・・・・」
ぼくはなんて事を思ってしまったのだろう。
一緒の職場で働き、一緒に色々な話をした同僚に向かって・・・なんて事を・・。
「浮英を囮に・・・とも思ったけどな」
薬はやっぱダメだ。マンションを睨んだまま呟く。
「佐野君・・・あの・・」
ぼくは謝りたかった。助けてくれたのに。心配してくれたのに。それなのに・・・殺されるだなんて。
もう少しでその武器を持った右腕の袖に触れると思った瞬間。
「湯水!アールピージーィ!」
掛け声と共に車の陰から佐野君は飛び出していってしまった。うずくまるぼく等を残して。
一瞬後にマンションの向かいのビルから白い煙を引いて菱形の何かが飛び出し、マンションの一室に飛び込み炸裂した。
ブツブツと腕の中にあるM16を見つめながら呟く。これが実戦のプレッシャーか?
いや、佐野君は米国に渡って実弾を使った特殊訓練もしている。しかも2回合わせれば半年に渡る長期訓練だったはず。
「荒谷・・・帰ったら絶対ぶっ殺してやる・・・あのクソッ・・」
キッとマンションを睨むその目には見間違えようも無いあの・・・凶灯。
「佐野君・・・薬を・・」
おそらくだが、使っている。戦場の恐怖をかき消す『興奮剤』
使えば弾丸の飛び交う戦場でも腰を抜かさずに立っていられる。その代償は理性。
「浮英!」
急に名前を呼ばれてドキッとする。こういった膠着状態の場合、誰かが囮も兼ねて1人で建物に侵入する事がある。普段の佐野君なら絶対に言わない事だけれど、この状況で佐野君の状態を思うなら・・・。
ゆっくりと佐野君を見る。もし囮になれと言われたらどうしよう。断れば・・・いや、この状況では断る事も出来ないだろうけれど。
知らずぎゅっとアキラを抱きしめる。その異常な柔らかさは、不快感ではなく何故か安心をぼくにもたらした。
「突撃するから、その間に離脱しろ」
殺される、と恐怖していた心がゆっくりと溶ける。佐野君の顔は、いつものいたずらっぽい笑顔に戻っていた。
「あ・・・・・」
ぼくはなんて事を思ってしまったのだろう。
一緒の職場で働き、一緒に色々な話をした同僚に向かって・・・なんて事を・・。
「浮英を囮に・・・とも思ったけどな」
薬はやっぱダメだ。マンションを睨んだまま呟く。
「佐野君・・・あの・・」
ぼくは謝りたかった。助けてくれたのに。心配してくれたのに。それなのに・・・殺されるだなんて。
もう少しでその武器を持った右腕の袖に触れると思った瞬間。
「湯水!アールピージーィ!」
掛け声と共に車の陰から佐野君は飛び出していってしまった。うずくまるぼく等を残して。
一瞬後にマンションの向かいのビルから白い煙を引いて菱形の何かが飛び出し、マンションの一室に飛び込み炸裂した。