最果てでもお約束。
「みんな、1人だよ」
どこまでも続く白い世界にアキラが立っている。
近づくと遠のき、歩くのを止めると近づいてくる。
「なんだそれ」
自嘲気味に笑って、吐き捨てる。
「みーんな、1人。どこまで行っても1人。生まれてくる時も死ぬ時も、ずっと1人」
「なんだそれ」
自嘲気味に笑って、吐き捨てる。
「誰にもなれないし、誰もわかってくれない」
「なんだ・・・それ」
自嘲気味に笑って、吐き捨てる。
「嬉しい事も、腹の立つ事も、悲しい事も、楽しい事も、気持ち良い事も、痛い事も、辛い事も、全部1人で受ける事。それは分ち合えないって事」
「寂しいな」
「分ち合えないって言葉自体、とても寂しい事」
「解ってる。本当は全部解ってる。ここでぼくが覚醒する事なんて1つも無い。目が覚めるような新しい事も、事実を知って涙を流す事も無い。そうだ、人間なんていつも1人だ。相手の気持ちなんて、誰かの気持ちなんて、いつだって解るわけない」
そう、だって、ぼくは彼でも彼女でも無いんだから。
そんな事解ってる。自身の確立ができておめでとーな事なんてとうの昔、思春期に済ましたさ。
「そう、じゃあさ、こうはなんで・・・どうして・・・」
アキラの姿がどんどんと変わる。
16歳の姿から-8歳して8歳の・・・・小さな女の子に。
「求めて歩くの?」
「言うから笑えよ?」
「ヤダ」
困ったな、と苦笑が漏れた。だってこれはきっと聞けば笑ってしまうだろうから。
あー・・・今から恥ずかしい。けれど、相手は少女だ。恥も何もないだろ。
「いつか・・・・解り合えると思っているから」
少女は涙を一滴零して、笑わないと言ったのに、笑った。

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