最果てでもお約束。
聞き終わった瞬間、ぼくの脊髄に電気が走り反射的に声のした方に首を振る。
そこにはいつか見た・・・少女が満面の笑顔で。
抱きついて・・・いや、飛び掛ってきた。
「私・・・ちゃんと言えた?」
「・・・・・良く似てたよ」
顔面にはほんのりとしたアキラの胸の感触。おそらくいや確実にAカップの。
「アキラ・・・悪い、やっぱりここは世界の果ても果て、最果てだ」
「さっきこんなんじゃないって言わなかったっけ?」
アキラの顔が真正面に。おでこは触れ合ったまま拗ねた様な表情。
ぼくは恥ずかしくなって目を閉じる。
「お前がいつまでも男ならな。女の子ならおっけー」
「その心は?」
ああ、こんなやり取りができてもぼくは誰とも繋がっていないのを強く自覚する。
ここは最果て、世界の終わり。
白い世界はどこまでも白くて、どこにも辿り着けない。
ただ、歩き続けるだけ。
でも、目標があるなら。先に見据える物があるなら。
繋がれなくても歩いて行ける。
それは絶望しないって事。希望があるって事。
生きていけるって事。
あぁ、今なら良く見える。
ゆうとアキラの姿が。
ぼくは2人を目指して歩いていく。辿り着けなくても、見えなくなっても。
高らかに宣言しよう。ここはぼくだけの約束された最果て。始まりの終わりだと。

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