最果てでもお約束。
「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」
バイト君の前にはドリンク2本、おにぎり4つがある。
おにぎりは悪戦苦闘の末に選んだのだが、そこは割愛。・・・だっておにぎりコーナーの前でうーうーと旅人が悩んでただけだもん・・。
ぴーっ、ぴーっと小気味よい訓練された手つきによるレジの音楽が鳴る。バイト君はぼくが知っているこのコンビニのバイト連中でももっとも手つきが素早い。
「全部で696円になります」
どうでも良い事だけれど、ぼくは金額を告げられてから財布を出しにかかる方だ。
・・・幼馴染には先に用意しておけと言われたな・・・。
「今日はお一人じゃないんですね」
ぼんやりと追憶にふけっていたらしい。目の前には既にコンビニの袋がきっちりと商品を詰め込まれて立っていた。
「あ・・・うん、親戚でね。泊まりに来てるんだ」
言った後に後悔したが・・・まぁ仕方ないか。最悪そうするつもりだったし。
「そうですか」
バイト君は満面の笑顔で商品を渡してくれた。

「ありがとうございましたー」
店内のBGMが若干大きいため、バイト君の声も少し大きめ。自動ドアが閉まるまでは店外にも音が漏れまくりだった。
「なに?どうなってんの?」
ててっと旅人が小走りにぼくに並ぶ。
「だからその話は後で・・」
「ご飯の上に泊めてくれんの!?あんたすげー善人!?」
そっちかい。
「あー・・・泊めます。ここでほったらかして町を徘徊されて君が死んじゃったりおれが拷問されちゃったりは嫌だからね」
「あざーっす!・・・ってアレ?」
ヤバさがやっと伝わってくれた・・・かな?
< 15 / 140 >

この作品をシェア

pagetop