最果てでもお約束。
追憶が後ろ髪を引く。アルバムの端で指を切るように、時に思い出せ、と。
追憶を振り払う。またさっきのようにボーっとしていては、命がいくつあっても足りない・・・かもしれない。
「こう!山が近いねぇ。葉が青い青い」
実にマイペース。まぁ・・・あいつもそうだったしな。
「目指すは・・・あれ見える?」
アキラの言うように青い青い葉が繁る木の間に、朱色に染まった二本の木。
この町で一番大きな神社の入り口にある階段の目印でもある、聞いた所によると大層神聖らしい鳥居。でもぶっちゃけ階段の目印。
「おおー!ジャパニーズtorii!」
・・・・アメリカン鳥居があるのだろうか?
一応”町を案内する”と言った手前、適当な所にも連れていけず結局はこの町でもっともメジャーな所に連れてきてしまった。
「アキラ、これがこの町でもっともメジャーな観光地”東の宮”(ひがしのみや)だ」
ちなみにこの神社の名前である東の宮は、町の地区の名前の一つであり、ぼくの住んでいる場所の町名でもある。
どんな意味のある神社なのかは知らない。案外地元の人間は知らなかったりするよね?
「おおおおー!ジャパニーズさむらーい!」
・・・・アメリカン侍を見た事があるのだろうか・・・?あ?

完全にミスった。先程の追憶が効いていたのだろうか?ぼくの脳はずいぶんと抜けていた。いや、一番メジャーな所なら人がいっぱい居るからなんてそんなちゃちなミスじゃない。問題は、この神社に”毎朝早く祈りに来る不良が居ること”であり、まさに今目の前で祈っている人なのでした。
金色で燃えるように逆立っている髪。腰には黒光りする、日本刀。
・・・・・・・鎖国っていいなぁ・・・
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