最果てでもお約束。
ちょっと裏道老人小道、猫の額みたいな場所をくるくる回って二人で進む。
こんな事するの、中学時代以来だ。
「おー、ついてきてんなぁ」
「ひ・・ヒッチハイカーですからっ」
それこそ塀の上を両手でバランスを取りながら進む。
「もうすぐ目的地だぞー」
くるりと左に折れると、天まで続くかのような光の筋が見える。ここはこの町にしては大きいビルとビルの間。見上げると空はまるで谷底から見上げるようで。
ゆうと”もし谷底に落ちたらどうする?”って話あった事を思い出させた。
その思い出がまたダラダラと外伝みたいに語られる前に、ぼくは目的地についてしまったのだけれど。
「おっし、到着ー」
目の前には6m程の幅がある川。流れる水はなんと紫色をしている!
「うっわー不都合な真実っつーか真実も何もぜんぜん隠してないですなー」
工場排泄とは言ってみたものの、実はこれがなんでこんな色をしているのかは知らないのでした。
たぶん、染工場が川の上流に挟むように建っているから、きっと染め色が出てるんじゃないかなぁと。
「無関心・・・・」
じとーっとこちらを見てくるアキラ。旅の人は案外自然にうるさいみたいでした。
「すくってみ?手ですくうと何故か無色透明なんだぜー」
異臭のする川をぴっと指す。
「遠慮します・・・・うわっ!魚がいる!紫になっちゃうよ!」
わっわーと川の側面に備え付けられている手すりに体を預けて覗き込む。
「食ってみたい?」
「みたくないです」
即答できる日本人の少なくなってきた昨今、アキラは有望な若者と言えた。
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