最果てでもお約束。
ずるずるずる。
「じゃーどうやってオレはこの町から出るんだよー」
ぼくのちょっと斜め後ろ・・・ついでにちょっと下から話しかけてくるアキラ。
「北に行って遠回りしなさい」
ずるずるずる。
「行くと決めたら一直線!東から来たから西に行くんですー!・・・あの・・そろそろ離してくれても・・・」
それもそうか。
ストンとアキラがお尻から地面に落ちる。
「襟首捕まれて引きずられるなんて初めてだよ・・」
「ぼくも初めてやったよ・・・」
つい20秒程前、リアル鬼ごっこの単語に過剰反応して両目に星なんか浮かべてきらきらと『宵の口』方面にダッシュしそうになっていたアキラを捕縛しました。全身を煌かせようとリアルでは無敵にはなれないのです。
「若い人にそのニュアンスはわからないと・・」
「モノローグにツッコミ入れないように」
まぁなんとか止めれたけれど、本当に行く気だったのか?
「旅人の主張は最大限考慮するけれども、やっぱりあそこは危なすぎるよ」
「ふーん・・・」
そのふーんが怖いんだってば。
「まぁほら、紫色の川でも見て和もうよ」
「和めないぜー」
チラチラと『宵の口』方面を見るアキラ。
「こうが居ても危ない?」
「ん、非常に危ない。そもそもあそこの辺りの人とこっちの人はあんまり仲が良いとはいえないからさ」
もうこの際ちゃんと説明しておこう。
「ぶっちゃけぼくが居ても向こうの人は多分お構いなしにアキラを拉致すると思う。ぼくは良くてリンチ、悪くて”スパイ匿い容疑”でうっかり殺されちゃったりするかもしれない」
「世紀末ですかこの町は・・・」
げんなりするアキラ。わかる、わかるぞー。普段意識しないけれど、こうして人に説明すると異常さがよくわかる。
「ねぇ、そんな危ないのにさぁ、実際に”南”から人が来たりするの?」
当然の疑問。しかし、答えは難解。
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