最果てでもお約束。
「いたぞ!マロヤスの裏!マサ!早く回り込めよ!」
さっそく大ジャンプ。いたぞ!のぞ!を言った辺りで。
「くそ!」
スリングショットを構えていた男が構えを解いて走ってくる。
ぼくはまたアキラの腕を掴んで強引に立たせ、薬屋の裏から川沿いに表に駆け出した。
「こう!勇気あるねぇ!」
もう位置はバレてるからアキラは大声で先程の勇気を称える。
「いや、人間喋ってる時は注意も散漫になるって」
プロの人はまずしませんもんね。
そのまま表に駆け出すと、そこには黒塗りの車が・・・
「あれ?」
無かった。びっくり。人が出せないならせめて車で行く手を塞ぐとかすれば良かったものの。
その黒塗りの車はどうしてかマロヤスの裏から表に出る道を遠くで塞いでいた。
想像以上の間抜けさんだったみたい。
数テンポ遅れて黒塗りの車が遠くから猛スピードで走ってくる。が、もう遅い。
こちらは車が迫ってくるよりも早く、川に架かっている橋に到着。橋は大道りにあるのだけれど、橋の性質上歩道は車道よりも少し高目に作られている。これで車に撥ねられる心配は無い。
「つ・・・づがれだぁ・・・」
へぇへぇと犬のような声を出して橋の上に座ろうとするアキラ。
「馬鹿。まだ走って追ってくるぞ」
実際、スキンヘッドとキャップは走って迫って来ていた。
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